海外フリーランス?アメリカのフリーランスの実態と留意事項

こんにちは。アメリカで海外フリーランス生活5年目のSacraです。

[voice icon=”https://sacrausa.com/wp-content/uploads/2020/06/Verriers.jpg” name=”Sacra” type=”l”]3月半ばからStay At Home Order(つまり外出禁止令)でひたすら引きこもっていましたが、やっと少しずつ、公園やお店やレストランが開いてきて、ちょっとワクワクしています。[/voice]

「アメリカのフリーランスの実態ってどんな感じ?どんな仕事があるの?時給は?」

「アメリカで海外フリーランスとして働くことは可能?どうすればいいの?」

今回はこんな感じの疑問についてお答えできればと思います。

目次

フリーランス大国、アメリカの実態。人口・職種・時給など

フリーランス大国、アメリカの実態はどのようなものでしょうか?

フリーランス人口・職種・時給などについてみてみましょう。

(冒頭のチャートは米大手のフリーランス登録会社Upworkの調査結果の引用です。)

アメリカのフリーランス人口

アメリカのフリーランス人口からみてみましょう。

米大手のフリーランス登録会社Upwork及びフリーランスユニオンによる「アメリカでのフリーランス活動:2017」 (FIA)という共同報告書によると、調査時点で5730万人のアメリカ人がフリーランスで働いており、推定して1兆4000億ドルの経済規模だそうです。

つまり、米国の労働人口の約36%が、パートやフルタイム、何らかの形でフリーランスとして働いているということ。

さらに、ミレニアム世代の50%近くがすでにフリーランスであり、現在の成長率でいけば2027年までにはアメリカの労働力の大半はフリーランスになるとも言われています。

これら統計からもわかるように、アメリカはフリーランス天国で、多少のアップダウンはあるものの近年フリーランス人口は上昇傾向にあります。

フリーランス人口の推移(2014−2019)

Reference: Upwork Report: Freelancing and the Economy in 2019

コロナ騒動を経て、さらにこの傾向は加速化するかもしれません。

アメリカのフリーランスの職種

日本ではIT系のスキルを持つフリーランスが主流を占める中、アメリカのフリーランスの職種は様々です。

アメリカの大手フリーランス登録会社UpworkのFreelancing and the Economy in 2019という報告書は、アメリカのフリーランスの多様性を浮き彫りにしています。

最近のフリーランサーが働く業界

日本のようにITや情報通信分野のみならず、分野横断的にフリーランスが台頭していることが伺えます。

アート・デザインやエンターティメントなどのクリエイティブサービスでは、フリーランスの割合が最も高くなっていますね。

対照的に、Uberのようなサービスは話題になっていますが、平均的な割合です 。(一度、早朝乗ったUberの運転手が、ピカピカのBMWで現れ、恐縮しながら話をしていたら、どうやら長距離通勤中の弁護士が、自分の通勤時間を利用しての副業ということでした。Uberの運転手との世間話はいつも楽しいです。)

また、エンジニアリングやコンピューター関連など、専門家フリーランスが多くを占めるのは納得がいきます。

一方で、金融やビジネスなど、その他の職種でも、20-35%の人がフリーランスというのも、日本とは大きく異なり、興味深いです。

特に、アメリカのフリーランスの多様性は、 ブルーカラー(主に肉体労働)の建設業が3番目にランクインしていることではないでしょうか。

[voice icon=”https://sacrausa.com/wp-content/uploads/2020/06/Verriers.jpg” name=”Sacra” type=”l”]ここに挙げられている職種だけでも以下のようなものがあります。すごいですね。[/voice]

  • アート&デザイン
  • エンターテイメント
  • 建設
  • アーキテクチャー・エンジニアリング
  • コンピュータ・計算
  • 交通・輸送
  • 卸売・小売業
  • 教育
  • 金融・ビジネス
  • (各業界の)管理業務
  • 食品関連サービス
  • ヘルスケア(専門家)
  • 事務・オフィスサポート
  • ヘルスケアサポート
  • 製造業

ちなみに、連邦政府機関のサイエンス分野で働く夫の職場も、部署200人中、数人の管理職以外を除いた同僚は全員専門職フリーランス、もしくはコントラクター(請負業者)で、皆半年に一度契約更新をしながら働いているとのことでした。

日本は人を大事にし、今ある人材で何ができるか考える傾向があるように思います。

一方で、アメリカは、プロジェクト・ビジネスありきで、そこに適材適所で人を当てはめていくような感じなので、専門スキルを持ったフリーランスとの相性のいい環境です。

当然、必要なくなったら契約更新もされず、政府のシャットダウンの時やコロナ騒動などで、前触れ無しに失業してしまう周囲の例も数知れず見てきました。

様々な業界や職種でフリーランスが活躍できる土台が、アメリカにはあります。

これは合理的かつ資本主義の牙城とも言えるアメリカならではの風土と商習慣にもよるでしょう。

アメリカのフリーランスの時給

アメリカ・payowner社の調査によると、スキルや専門分野別にみたアメリカのフリーランスの時給の詳細は以下です。

アメリカのフリーランスの時給

法務関連のフリーランスの時給平均は28ドル(約3000円)と高額で、その後にIT系の職種が続きます。

実際に、弁護士でフリーランス登録をしている人には、時給250-500ドル(約27,000-54,000円)という金額で仕事を単発で請け負っている人も時々見かけます。

こちらは本業の合間の副業なのか、フルタイムのフリータンス弁護士なのかわかりません。

ただ、私のいる都市で法律事務所を通して弁護士を雇うと、時給500〜1000ドル(約54,000-108,000円)もするので、ニーズにあったフリーランス弁護士が見つかれば何かとWIN-WIN(つまり、双方にとってお得)なのではないでしょうか?

その他の職種を見ても、全般的に、アメリカは日本よりフリーランスの待遇はかなり良いといえそうですね。

業界を通して、確かにIT系のスキルは強いようですが、財務・マーケティング・営業・翻訳・ライティング・事務・カスタマーサポートなど、IT系スキル以外でも広くチャンスがあることがわかります。

但し、フリーランスで100%稼働しているはごく少数だと思います。

政府系など半年といった長期フルタイム契約もまれにありますが、数週間から数ヶ月など、契約期間は様々なので、大抵プロジェクトの合間にぽっかり空きができてしまったり、複数のパートタイムの仕事を掛け持ちしている、というケースが周囲では散見されます。

体験談:海外フリーランスとしての時給

ちなみに私自身の体験談をベースに、海外フリーランスとしての時給を公開します。

私のフリーランスとしての本業は経営コンサルティングですが、スケジュールに余裕があるときはそれ以外のビジネス翻訳などの仕事も単発で引き受けることがあります。

これまでの私の時給の大体の目安は大体以下でしょうか?

  • 大手外資系での経営コンサルティング= $80-90 (8600-9700円位)
  • 国際機関の専門職コンサルティング = $80(8600円位。所得は税がかかりません。)
  • (友人の経営する)中小企業の戦略案件支援 = $50(5400円位)
  • 日米異文化コンサルティング:$40(4300円位)
  • 経済・金融・法律関連の専門分野のビジネス翻訳:$30-40(3200-4300円位)

大手外資系コンサルティング会や国際機関のフルタイム契約の場合が断然高額になります。

これは、コンサルティングの経験が15年以上あることや英語や仏語で多国籍メンバーとプロジェクトを遂行するという特殊なポジションだったこともあります。

でも、何より、昔、正規職員として働いていた組織や元上司から口コミで入ってきた仕事なので、準社員のように何かと配慮してもらえたことがあります。(昔の会社の同期で残っている人は皆出世して、ハイクラスなポジションにいることもあり、彼らに準じた待遇を考慮してもらえたのかもしれません。)

翻訳系の仕事はこちらのフリーランスサイトで見つけたものです。

結局先方の見積もりの時間が非常に厳しかったことと、国際会計基準などかなり専門的な内容で、かなり時間オーバーしてしまいましたが、リモートで顔も見えない見ず知らずのアメリカ人とドライに働くという経験で、ある意味とてもいい勉強になりました。

(現時点での2020年のドル円の平均値が1ドル108.32円だったので、108円で概算しています。)

アメリカで海外フリーランスとして働くための2つの留意事項

アメリカで海外フリーランスとして働くための留意事項には何があるのでしょうか。

結論から言うと、「ビザ・税金申告」などに注意が必要です。

ビザ

ビザの取得が厳しいアメリカですが、残念ながらドイツ・ベルリンのように、アメリカには海外フリーランスとしての就労ビザはありません。

合法に働くなら、基本的にグリーンカードや雇用主がスポンサーとなる就労ビザが必要です。

現在は、トランプ政権によって外国人へのビザの申請プロセスが一気に停滞し、その上コロナの影響もあり、正直かなり厳しい状況でしょう。

グリーンカードに当選したり、私のようにアメリカ国籍を持つパートナーとの結婚でグリーンカードを得るというケースであれば、比較的スムーズかもしれません。

[voice icon=”https://sacrausa.com/wp-content/uploads/2020/06/Verriers.jpg” name=”Sacra” type=”l”]と言っても、私の場合、すったもんだで、グリーンカードが手元に届くのに1年かかりました。[/voice]

また、年間3000ドル以下の収入の場合や、一部の研究職など特殊なビザを持つ場合など、アメリカ国外の顧客にサービス提供をすることを例外的に認めているケースもあるようです。

いずれにせよ、アメリカの法体系は非常に複雑なので、このような状況を熟知している移民法専門の弁護士などに相談するのが一番無難でしょう。

また、このように、移民法専門の弁護士が解説するサイトなどもあるので、英語でリサーチすると色々と出てきます。

「就労ビザなしでも海外フリーランスとして働ける」という国やサイトもあるようですが、残念ながら移民法の厳密なアメリカでは基本的に通用しないと思った方が良いでしょう。

私の登録していたアメリカのフリーランス登録会社は、登録時にアメリカでの身分証明やビザなどのコピーの提出が求められました。

一方、日本のクライアントについては当然私のグリーンカードなどを求めるケースはなく、日本のフリーランス登録会社もアメリカにいるフリーランスのビザの状況まで把握は難しいでしょう。

現実としては、日本のクライアントや日本国内向けのサービスをアメリカ在住のフリーランスとしてリモートで実施し、こっそり給与を得ることは可能でしょう。

ただし、例えば、配偶者ビザでフリーランス業を始めた場合、違法行為となって、もしバレた場合は何らかの法的なペナルティが課せられるケースも考えられます。

税金申告

税法的な観点からは、海外フリーランスがアメリカ国内に長期居住していて、物理的にアメリカ国内から海外向けにサービス提供する場合は、アメリカ政府に税金を納める必要があります。

アメリカ在住・日本人弁護士の方のサイトなどでも、U.S. Source of Income(アメリカの源泉)については、よく調べれば税法について有益な情報を入手することもできます。

参考までに、こちらなど。

一方で、私が悩んだのは、アメリカから日本に長期出張中の収入について、税金の扱いをどうするかでした。

アメリカの税法的な観点に基づくと、サービス提供する際の物理的なロケーションでどちらの国の源泉になるかが決まります。

一時帰国して、日本のクライアント向けに仕事している場合は、どうすればいいのでしょう?

結局、大手税理士法人を抱えるクライアント企業と我が家の会計士の両方に相談し、日本出張中の給与については、日本で源泉徴収するのが正しいという結論でした。

アメリカと日本は租税協定があり、(当然のことながら)二重に税金を払う必要は当然ありません。

アメリカ在住で海外フリーランスをしている方は、アメリカで税金を払う前提で、税引き前の総額をアメリカに送金してもらうように留意しましょう。

まとめ

今回は アメリカのフリーランスの実態と、アメリカで海外フリーランスを目指すにあたって留意すべきことなどについてまとめてみました。

こちら住んでいる都市・職種・スキル・英語力などで、経験は大きく変わってくると思いますが、今回は私個人の体験ベースで具体例を交えて解説しました。

次の記事では、海外フリーランスとしてのキャリア設計について書いていきたいと思います。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

[voice icon=”https://sacrausa.com/wp-content/uploads/2020/06/Verriers.jpg” name=”Sacra” type=”l”]ちなみに、時間の空いた時だけ、口コミ&不定期に英文レジュメ作成やコンサルもしています。質問やお問い合わせは以下よりお願いします。[/voice]

     

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